読書感想 冷たい密室と博士たち 森博嗣(ネタバレ注意)
「冷たい密室と博士たち」森博嗣著 読書感想です。
以下文庫(講談社文庫)の背表紙の紹介です。
同僚の 誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリー第二弾
森博嗣さんのS&M シリーズの第二弾ですね。前作の「すべてがFになる」を読んでから相当時間がたちずっと読もう読もうと思っていた矢先にドラマ化され萎えたりして結局手を付けなかったシリーズでした(ドラマ化されたものに手を出すとミーハー感がして恥ずかしい照れ)。
本編は建築学科助教授の犀川創平と建築学科の二年生の西之園萌絵の近辺におこるミステリーを二人が謎解きをしていくという流れです。
「謎解き」だと語弊がありますね、ラノべみたいに感じますね。森さんの理路整然とした論理の積み重ねが物語を紐ほどいていく、のほうがしっくりくると思います。
初めは、理系の専門用語が並び、「おもっっ」っと思うかもしれませんが、犀川と萌絵のキャラクターがお互いをひきだしあっていい味を出していたり、犀川の人間じみた主観が読者を引き込む魅力となっていると思います。
物語は今回「密室の殺人事件」がテーマですが、私はそのトリックよりもむしろ殺人の動機に目が向きました。ていうよりトリックの描写が細かいので大枠だけつかんで読みながしました笑(森さん申し訳ございませんm(__)m )
前作の「すべてがFになる」ではトリックの美しさに魅了されましたが、今作では動機や犯人の悲劇にむしろ共感を覚えたような気がします。
殺すかどうかは別として、そりゃ殺意を抱くわなみたいな
最後に私の好きなシーンが2つあります。
1つ目は殺人が起こる前の極地研での飲み会のシーンです。
お酒をほとんど飲めない犀川が酔って、つまらないギャグを連発するシーン。
つまらないことを言ってることを本人も自覚するもつい言葉に出しちゃうという頭のいい犀川のお茶目なところが好きです。
私もそういうときあります。いっぱいあります犀川さん泣
愛想笑いや無理に返しをしてくれた人に申し訳なくなると同時にめちゃめちゃ感謝しますよね笑
2つ目は犀川がトリックの解答を事件関係者のみんなに話すシーンです。
この時、犀川のほかに2人すでにトリックを解き明かした人が紛れていて、その2人がサクラとなってテンポよく謎を解き明かしていくリズムが好きです。
このほかにも、犀川と萌絵の関係や国枝助手の婚約をきっかけに犀川の感情の揺れ動きなど細かいところでも楽しめる作品です。
是非一読おすすめします!
お付き合いいただいてありがとうございました。